しらみ
人に寄生するしらみには頭じらみ・衣じらみ・毛じらみ の3種類があります。
人間の頭髪や衣服に寄生し、血を吸って生きる寄生虫です。
しらみに血を吸われると、蚊と同じように強いかゆみが起きます。
これを放置すると、赤みやカサなどの湿疹様の症状が加わってきます。
かゆみのあまり頭をかいてしまうと、ひっかき傷ができ、そこからバイ菌が入って、時にはリンパ節が腫れたり、湿潤と、かさぶたで、悪臭を放つこともあります。
かゆくても頭皮はなるべく掻かないように気を付けてください。
しらみという名の語源は白虫からきているといわれ、特徴として、空腹時の頭じらみは白っぽく、血を吸うとしらみの体が赤くなっていきます。蚤は成虫、蚊はメスの成虫だけが吸血するのに対し、しらみの場合はオス・メス関係なく、また幼虫から成虫まで一生を通じて血を吸います。
しらみの中でも、衣服に潜む衣じらみは、有史以来、発疹チフスを媒介する大害虫として恐れられてきました。
戦後の一時期日本中に蔓延しました衣じらみのイメージから不潔だと受け取られがちですが、現在の日本で不衛生なため発生していることは、ほとんどありません。
戦後、進駐軍によってもたらされた万能殺虫剤DDTの威力と、生活環境の改善により、日本ではすっかり目にしなくなりました。
ですので、しらみを知らない方もいらっしゃるかと思われます。
しかし、最近ふたたび増えてきて目に付くことが多くなってきています。
海外旅行者が増えたため、海外でしらみに感染して、それを日本国内に連れ帰ってしまうことが、大きな原因のようです。
そして、実はしらみの種類の中の一つである頭じらみは、国内の保育所や幼稚園、または小学校低学年の子供たち等、幼年層を中心に近年増加傾向にあると言われています。
また「清潔にしていれば感染しない」逆に言えば「不衛生な環境がしらみ発生の原因」という、頭じらみについての間違った認識が広く浸透しており、正しい知識を持たない子供同士などでは、これを原因にトラブルが起きたりすることもあるようです。
当然の事ながら「清潔にしていれば感染しくい」これは間違っていませんが、頭じらみは清潔にしているからといって、絶対に感染しないものではありませんので正しい認識をもって子どもさんと対応してください。
しらみは一年中
同じ吸血害虫の蚊は、主に夏を中心に発生しますが、しらみの発生には季節変動が、あまりありません。
冬だからいない。夏だから大量に発生する、なんてことがないのです。
ですが、傾向として、しらみは夏には少なく秋から冬にかけて多発するようです。
人間の頭髪の中という、“常に温かくてエサにも困らない場所に住んでいる”ため、他の虫たちと違って、一年中活動できてしまうのです。
そんな彼らの発情期もまさに年中無休で、休まずどんどん繁殖を続けます。
幼稚園・学校ではプール使用前に検査する場合があることから5〜6月に見つかる率が高くなります。
頭じらみの生態
生態
・頭じらみの卵は約1週間で孵化します。
・幼虫と成虫の形はほとんど変わらず、見分けがつきません。
・幼虫は蛹にはならずに約3週間で3回脱皮して成虫となります。
・成虫の寿命は30日〜45日程です。
・頭しらみの体長は、雌2〜4mm、雄2〜3mmです。
・雌は卵を頭髪の根元に近いところに産卵します。
・雄・雌関係なく、幼虫から成虫まで一生を通じて血を吸います。
・温度や湿度によりますが、吸血しないと2〜3日程度で死んでしまいます。
好きな環境
・湿度・・・90度
・温度・・・30度
繁殖力
・1匹が1日に8個ほどの卵を生むので1月に200個にもなります。
感染方法
主な感染経路として考えられるのは
・頭髪と頭髪の直接的な接触(子どもが頭を触れ合って遊ぶことや集団生活や集団昼寝などで寄り添う時など)
・帽子、ヘアーゴム、スカーフ、マフラー、クシ、ブラシ、衣類等を共用する、貸借りすること
・寝具類、マクラ、シーツ、ベット等を介して
・バスや電車等のソファを介して
・髪が触れるほど混雑したバスや電車や船等で
・夏のプールシーズン(水を通しての感染ではなく、共同ロッカーを通しての感染)
など、様々な場所で、知らないうちにと言うことも考えられます。
ちなみに犬や猫などのしらみはよく知られていますが、その他の哺乳類にも、多く寄生しています。
ですが動物のしらみは人間には寄生しませんのでペットを飼っている方、ご安心を。
ですが、もし自分のペットにしらみを見つけた場合は、動物には動物の駆除方法がありますのでお近くの動物病院で相談してみてください。
かゆみが主な症状
頭しらみの症状の中で一番強いものは「かゆみ」です。
頭しらみが吸血する際、蚊の様に頭しらみから唾液が分泌されます。
この唾液に対してのアレルギー症状がかゆみの原因となります。
吸血の回数は1日4〜5回程度で、吸血の度に激しい「かゆみ」を伴いますが、このかゆみに関してはあくまでも個人差がありますので、“自覚症状があまり無いまま気が付いたときには頭じらみが増えていた”等ということも時々起こるようです。
頭じらみによる症状では、かゆみ以外には危険はほとんどないのですが、大人、子供を問わず、自分のつめで頭を強くかき過ぎたりする場合があります。
この時、あまり爪が伸びていたりすると、引っかき傷ができることもあります。
そこからバイ菌が入って、時にはリンパ節が腫れたり、湿潤と、かさぶたで、悪臭を放つこともあります。
ですので、かゆくても頭皮はなるべく掻かないように気を付けてください。
もし皮膚の症状がひどくなってしまった場合は、速やかに皮膚科の病院にいきましょう。
もちろん、その前に行くのが得策ですけどね!
保育園、幼稚園、小学生くらいのお子さんを持つご家庭のお母さん!お父さん!
普段から、お子さんの様子には注意してあげてください。
・子供がどうも最近よく頭をかく。
・遊んでいても頭をかく。
・テレビを見ていても頭をかく。
おっかしいなぁ、シャンプーは毎日、お風呂でしてあげているのに?
なにか頭をかくのがクセになっているのかしら……?
こんなことになったら、ご用心!
幼稚園や小学校などの定期的な検査に頼るだけでなく、お風呂に入った際には、お子さんの頭をじーーーーっと見てみましょう。
なにか動いていませんか?
なにかフケとは違う楕円形の卵はありませんか?
もし、見つけてしまったら
例えかゆみの自覚症状がなくても、しらみを放置しておくのは得策ではありません。
放っておけば、勝手にいなくなってくれるわけではなく、いつまでも頭の血を吸い続けます。
そんなことをされて、成長期の子供の健康に良いわけがないですよね?!
なにより、他の子にうつしてしまう可能性があるので、すばやい対処が必要です。
頭じらみの見つけ方
頭じらみは、髪の毛の間をかなり早く動き逃げるので、寄生が少ない場合は見つけるのが困難です。最も簡単な見つけ方は毛に産み付けられている卵を探します。卵は一見ふけの様に見えますが楕円形です。
卵が毛から取れて基部だけが残るとヘアキャストと呼ばれる皮膚分泌物に似るので、よく見間違えます。
ヘアキャストは指の先でつまんで引っ張ると簡単に動きます。
しらみの卵(基部)は、セメント様物質で毛にしっかりと産み付けられているので、引っ掛かる感じがあります。
頭じらみによる症状では、かゆみ以外には危険はほとんどないのですが、大人、子供を問わず、自分のつめで頭を強くかき過ぎたりする場合があります。
わかり易くいうと、しらみの卵は、白っぽい色をしていて、フケと見分けが付きにくいですが、フケと違って指ですいても取れず、やや立体感と光沢があるのが特徴です。
見つけやすい場所としては、後頭部や耳の後ろ辺りなどです。
もしそれでもわからない場合は、毛ごと切り取りビニール袋に入れて、保健所で見てもらいましょう。
頭じらみを駆除する方法は?
頭じらみに感染した場合、早急に駆除をし、徹底して頭じらみがいなくなるような生活をしなければなりません。
では、どんな方法で駆除するのでしょうか?
・寝具をすべて清潔にする
枕カバーやシーツは出来るだけこまめに洗濯します。
頭じらみによる症状では、かゆみ以外には危険はほとんどないのですが、大人、子供を問わず、自分のつめで頭を強くかき過ぎたりする場合があります。
また、しらみ類は熱に弱いので60〜70度以上の熱に約10分ぐらいつけると、死んでしまいます。
なので洗濯の前に予め、60度以上のお湯に10分ほどつけておいたり、温水で洗濯するとよいでしょう。
そして日光のもとで乾します。
日光には殺菌能力があるので、布団やカバーも干します。じゅうたんや畳なども毎日掃除機をかけます。
・卵を見つけて駆除する
寄生や卵が多い場合は駆除専用のクシを使うと効果的です。
昔はすき櫛が使われていましたが、今では専用のクシが入手できます。
専用のクシは成虫や幼虫だけでなく卵も取れますが、卵は縦 0.5mm×横 0.3mm位なので、クシ幅により引っ掛からないことがありますので注意してください。
・髪の毛を短く切ること
ようは坊主にしてしまう、またはスキンヘッドにしてしまうという方法です。
洗髪をしやすくしたり、頭しらみの生息場所を限定するためです。
卵のついた部位の上部から髪の毛を切り取り、切り取った毛は新聞紙や古紙などにくるんで焼却処分します。
焼却処分が難しい場合は、一つ一つを爪や硬いものでつぶし、新聞紙などにくるんで捨てます。
・洗髪は毎日する
卵がひとつでも見つかったら洗髪を1ヶ月間ぐらいは毎日します。シャンプーは必ずよくすすいでください。
でもシャンプーだけではなかなか取り除くことはできませんので、その他の方法と合わせて行ってください。
・頭しらみ用の駆除商品を使う
一般的には日本ではスミスリンという医薬品でシャンプーをして駆除します。
けれども外国では学校での集団感染は日本に比べて比較的多いので、薬局には多くの種類のアタマジラミ駆除商品があります。
例えばオーストラリアでは、「ピレスロイド系などの化学薬品を用いる殺虫剤系 」、「ティーツリーなどの天然素材を用いる自然薬系」があります。
しかし、薬局に行ってもこのスミスリンという医薬品しか置いてありません。
日本ではシラミ駆除薬として、このようなピレスロイド系の薬しか許可していないからです。
このように頭しらみを駆除する方法はいろいろな方法があるんです。