自己破産
破産というのは、多額の借金などによって債務者が経済的に破綻してしまって、自分の持っている資産では全ての債権者に対して弁済しきれなくなってしまった場合に最低限の生活に必要な物以外の資産を換価(差し押さえた財産を金銭に換えること)して、債権者に債権の金額に応じて公平に弁済する目的の裁判上の手続です。破産の申立ては債権者からも可能ですが、債務者が自分で申立てる破産のことを自己破産といいます。
自己破産をすると、周りの人たちに破産したことが知られてしまうのではないかと心配する人も多いのです。しかし、周りに知られる心配はほぼありません。破産手続開始決定を受けても戸籍や住民票に記載されませんので、将来子供の就職や結婚などに影響を及ぼすことはありません。
ですが、破産者の本籍地の市区町村役場の破産者名簿には破産した事実が記載されます。これに関しては第三者が勝手に見ることはできませんし、免責決定後に破産者名簿から抹消されます。また、破産手続開始決定は官報に掲載されますが、一般の人が官報を見ることは滅多にありませんし、裁判所から勤務先に連絡がいくようなこともありませんので、仕事に支障をきたすこともありません。
自己破産をすると選挙に参加できないという噂も聞きますが、実際は自己破産しても選挙権や被選挙権などの公民権はなくなりません。しかし、免責までの期間だけですが、破産者は弁護士や司法書士など一部の職に就くことはできないという一定の資格制限があります。
自己破産をすると、信用情報機関に俗に言うブラックとして登録されます。この登録期間は、それぞれの信用情報機関によって違いがありますが、大体5年〜10年です。ブラックリストに登録されている期間は銀行や他の金融業者から融資を受けたり、クレジットカードを持てなくなったりします。でも自己破産をする状態ですと、その時点で大抵の銀行や金融業者からの融資、カードの申し込みは通らない場合が多いと思いますので、あまり心配はいりません。
自己破産は債務整理する上で最期の手段です。ですから必要最低限の生活用品以外の資産は強制的に換価され、債権者に分配されますので、家や土地、自動車などの資産価値が高いものは換価されます。家の場合、売却までに半年前後かかることが多いので、その間に転居先を見つける必要があります。
ちなみに必要最低限の生活用品など差し押さえられないものは、衣服、寝具、家具、台所用具、1ヶ月分の食料や燃料、99万円以下の現金、20万円以下の預金、電話加入権、20万円以下の生命保険解約返戻金などです。
破産の申立てをして破産手続開始決定を受けたら借金が帳消しになると思っている人がいますが、実際は免責決定を受けることによって借金がなくなります。ですから、自己破産はこの免責決定を受けるためにするといってもよいでしょう。
自己破産をする上で注意しなければいけない点として、あなたの破産は保証人にはなんの影響もないという部分があります。
あなたが自己破産をすると保証人に請求や督促が来ますので、保証人にはきちんと正直に話しておいた方がよいでしょう。
また、自己破産の費用ですが、自分で行うと2〜3万円、司法書士に頼んだ場合で15万円〜30万円、弁護士に頼んだ場合で20〜50万円(もっとかかる場合もあります)くらいが目安になります。
私の友人の破産を手伝ったことがあるのですが、全て自分で行ったので3万円もかかりませんでした。
手間を惜しまない、またはお金がない場合は自分でも十分手続きはできます。また、少々お金を払っても手間がかからずスムーズに破産をしたい場合は司法書士や弁護士に頼んだらよいと思います。